召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

 手書きでなくてもいいとは……それくらい、この魔法陣を作った者が優秀だったのだろう。だが、今はこれを分析するために、カードを手に取ったのではない。

 私は一番上のカードを捲った。

「『THE HANGED MAN(ハングドマン)』(吊された男)」

 そう書かれているが、描かれているのは宙吊りにされた白ウサギである。垂れた耳が吊るされたことによって、耳が立っているように見えるのが、なんとも滑稽な姿に映った。
 しかし足は縛られ、手も後ろに回されている。

 拘束された姉の姿を見ても、なんの感情も抱かないどころか、そのまま縛られていてくれ、と望んでしまう。

 しかし奴らは、おそらくそんな姉を解放するのが目的なのだろう。稀代の魔女を復活させて何をさせたいのか、までは知らないが、よくないことであることは間違いないだろう。

 私はそっとカードを箱に仕舞い、再びポーチの中に入れた。勿論、そのままにはせず、鞄に戻す。そしてアゼリアが眠るベッドへと足を向けた。

「絶対に守ってみせますから」

 ベッドの前で跪き、祈るようにその背中へと決意の言葉を述べた。