召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

 稀代の魔女ウルリーケ・ハウエル。

 あの黒フードの男たちは、おそらくウルリーケの魔力が欲しいのだろう。あのタロットカード、七十八枚には、ウルリーケの魔力が分散されている。禁忌を冒してまで手に入れた魔力は、そのくらい膨大なのだ。

 本来、使用すること自体が危険なのだが、なぜかアゼリアは平然と使っている。

「本当に、どこも異常がないのですか?」

 この質問がお気に召さなかったのか、アゼリアは顔を隠すように、私の体にすり寄ってきた。彼女はウサギではないのだが、嬉しさが拭えない。私の傍にいることを、安心だと捉えているように感じてしまうからだ。

「そんなことをされたら、私も応えたくなるではないですか」

 アゼリアの体をさらに引き寄せ、彼女の頭に顎を乗せる。先ほどのような唸り声が聞こえないことをいいことに、家に着くまでそのままの体勢でいた。

 分かっている。こんなことをしても、私たちは偽装結婚をしている間柄。本来の目的を忘れてはいけない。共にいることさえ、互いの利害の一致だということを。