「いいよ。持たなくて」
「私はアゼリアほど疲れていませんから、これくらいさせてください」
「……こんなんじゃダメになっちゃうよ」
甘える癖。やってもらう癖が付いたら、一人では生きていけなくなる。異世界だからって今までグリフィスの世話になりっぱなしでいたけど、さすがに将来のことを思うと受け流せなかった。
「今はそれでいいではありませんか」
「よ、よくないよ」
「そうなんですか? 今日は一日頑張ったアゼリアのために、馬車を手配したんですが……必要ないようでしたら今からでもキャンセルを――……」
「ば、馬車!?」
この街には路面電車のような乗り物があるため、馬車は貴族が乗るものだと、ヘルガから聞いてたことがあった。それに乗れる、と思ったら、周りの視線など一気にどうでもよくなった。
グリフィス越しに辺りを見渡し、それらしきものを探す。すると、黒い馬が二頭。行儀よく待っている姿が目に入った。さらに後ろに視線を向けると、暗くなり出してきた空模様よりも濃くて深い、黒塗りの車室があるではないか。
これは、この世界に疎い私でも分かる。
「私はアゼリアほど疲れていませんから、これくらいさせてください」
「……こんなんじゃダメになっちゃうよ」
甘える癖。やってもらう癖が付いたら、一人では生きていけなくなる。異世界だからって今までグリフィスの世話になりっぱなしでいたけど、さすがに将来のことを思うと受け流せなかった。
「今はそれでいいではありませんか」
「よ、よくないよ」
「そうなんですか? 今日は一日頑張ったアゼリアのために、馬車を手配したんですが……必要ないようでしたら今からでもキャンセルを――……」
「ば、馬車!?」
この街には路面電車のような乗り物があるため、馬車は貴族が乗るものだと、ヘルガから聞いてたことがあった。それに乗れる、と思ったら、周りの視線など一気にどうでもよくなった。
グリフィス越しに辺りを見渡し、それらしきものを探す。すると、黒い馬が二頭。行儀よく待っている姿が目に入った。さらに後ろに視線を向けると、暗くなり出してきた空模様よりも濃くて深い、黒塗りの車室があるではないか。
これは、この世界に疎い私でも分かる。



