召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

 心配、は合っているものの、皆が羨むほどの関係ではないのだ。時々、私でも錯覚してしまうことがあるから、気を引き締めているんだけど……グリフィスの顔を見ると、つい甘えてしまう。

 家事から食事まで、衣食住のすべてを世話したがるんだもの。この誘惑に勝つ方法を、逆に教えてもらいたいわ! あの顔で、なんでも先回りされたら、世の女性たちだって負けてしまうに決まっている。そう、私の意志が弱いわけじゃないのよ!

 帰り支度を済ませて、いざグリフィスの前に立つと、先ほどまでの勢いはどうしたのか。頬が緩み、傍に行くことができなかった。

 周りにいる女性だけでなく、男性までもが振り向くような柔らかい笑顔を私に向けてきたのだ。その優しい笑みに安堵するものの、周りの視線が気になって足が前に動かない。

「アゼリア」

 けれどグリフィスには関係なかった。私に駆け寄り、心配そうに顔を覗き込む。その仕草に私は、先ほどの男性職員の言葉を思い出す。

『アゼリアさんしか見ていませんから』

 確かにグリフィスは周りの視線など、気にしている様子はなかった。私にだけ集中し、さり気なく肩にかけていた鞄を手に取る。