召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「すみません。ヘルガの見送りはアゼリアだけでお願いしてもいいですか?」
「え? いいけど、そんなに悪いの?」
「そういうわけではないのですが……相手はお客様とはいえ、ヘルガです。私が出なくとも問題はないでしょう。それに私は私で、後片付けを先にしたいのです。敷物を出すのに、散らかしたまま部屋を後にしましたから」

 シャッフルする時に、カードを傷つけないための敷物がほしい、とは。正直、あのタロットカードを使用するのに、そんなもの、と思ってしまった。

 なぜならあのタロットカードが原因で、アゼリアはこの世界に召喚されたからだ。丁寧に扱う必要など、どこにあるのだろうか。ないだろう。タロットカードに封じられている者のことを考えると余計にそう思った。

 白いウサギのタロットカード。愚かな白ウサギが魔術を極めようとした末路の姿であり、私の姉の今の姿。そう、私はウサギ獣人なのだ。魔術で姿を変えているがアゼリアとは違う人種。
 彼女は今も私を人間だと思っているし、これからも打ち明けるつもりはない。そのための偽装結婚であり、彼女は大事な保護対象者。姉からも奴らからも守らなければならない。だから……。