召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

 私はトボトボとグリフィスの横を抜け、リビングへと向かおうとした。するとなぜか、後ろから腕を掴まれる。

「アゼリア。何も持たずにリビングへ行く気ですか?」
「だって、ヘルガが待っているから」
「それはそうですが、敷物が必要な占いなら、道具があると思いまして」
「あっ!」

 そうだ。道具。カードがないから家に帰ってきたのに! あー! 恥ずかしい!!

 思わず両手で顔を覆いたいのに、グリフィスに腕を掴まれているからできない。そのもどかしさも相まって、私はその場にしゃがみ込んだ。

「相変わらずアゼリアは世話のし甲斐がありますね」
「面目ない……です」
「いいんですよ。そういうところが気に入っているのですから」
「え?」

 こんなおっちょこちょいで面倒な私を? 年齢イコール彼氏いない歴な女だよ? 気に入る要素なんて、何一つないのに……。

「グリフィス」
「なんですか?」
「変な性癖を持っていたとは思わなかったわ」

 こんな世話の焼ける人間がいいだなんて……。

「何か勘違いしているようですが」
「全然! グリフィスが世話好きだってことを再認識しただけだから」

 それに対して、ずっと申し訳ない気持ちになっていた。世話を焼かれる負担というか。でもそれがグリフィスの性格ならば仕方がない。

 これからは遠慮なく甘えさせてもらおう。