召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

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 けれどグリフィスの顔を見た途端、その悩みが一気に吹き飛んだ。

「アゼリアっ! どうしたんですか!? まさか体調が……」

 自宅から少し離れた場所にある本屋の扉を開けた途端、二つの音が重なった。一つは扉が閉まる音。もう一つは、グリフィスが椅子から立ち上がる音だった。それも勢いよく立ち上がったものだから、椅子が後ろに倒れ、扉の閉まる音がかき消されたのだ。

 グリフィスを驚かせてみたい、というヘルガの目論見は見事に達成したわけだけど……ここまでとは思わず、私は一歩、後ろに下がった。ズカズカとグリフィスが迫って来るから、という意味もある。
 けれど逃げる暇もなく、両肩を掴まれてしまった。

「違う違う違う! 早引きさせてもらったの!」
「つまり体調が悪いということではありませんか。正直に言ってください。どこが悪いんですか?」
「悪くないし、ひとまず落ち着いて!」
「落ち着けるわけがないでしょうが!」
「なんで!?」

 そう反論している間にも、グリフィスは私の体をまじまじと見て、身体検査までしてくる始末だった。近くにヘルガがいなければ、突き飛ばすか、本屋から出て行くのに……!