召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「ですが、相談所が再開すれば、このような機会も減ってしまいますからね」
「えっ? 前みたいに迎えには来てくれないの?」
「行きますよ、勿論」
「なら十分、できるじゃない」

 そんな今生の別れみたいな声で、わざわざ言わなくてもいいのに。

「……以前とは違い、アゼリアが相談所に慣れてしまえば、書店を手伝うことなどなくなるとは思わないのですか?」
「確かに。始めたばかりの頃は慣れていなかったから、疲弊してしまって。だからその後は、隔週でやろうということになったけど……」

 回数を重ねていけば、それは分からなくなる。あれだけ図書館に行列ができるのだ。なるべく多くの人たちの相談に応じたい。それによって図書館に活気が戻るのなら、尚更だった。

「誰もその先は分かりません。それに私が今、こうして妻と手を繋ぎたい、と願っていることを叶えてもらえると有り難いのですが。ダメですか?」
「ううん。今後は相談所に専念するって決めたんだもの。迷える子羊ならぬ、ウサギに手を差し伸べるのは当たり前のことよ」
「ではしばらくは、その優秀な相談員を独占できる喜びを、理解してもらえると助かるのですが」

 も~! ウサギの時とは違って、回りくどく甘えてくるんだから。分かり辛いわよ!

 私はグリフィスの期待に応えるように、体を寄せた。通りを歩くと、未だに外野の声は聞こえてくるけれど、今はあまり気にならなくなった。
 
 だって、私たちは夫婦なのだから。