召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「よく分かりませんが、アゼリアが楽しそうで、何よりです」
「……グリフィスのことだから、バカにされていないのは分かるけど、なんだか腑に落ちないわ」
「そうですか? ではお詫びに、このまま手を繋いで行くのはどうでしょうか」

 グリフィスは私が手を乗せる前に掴み、指を絡めてきた。

「構わないわよ。でも今日が初めて、みたいな言い方はやめて。結局、私がグリフィスの書店を手伝い始めてから、毎日こうしているじゃない」

 そう、実は事件の後処理で、なかなか相談所が再開できていなかった間、私は休職扱いとなっていた。事件の被害者、とまではいかなくても、該当者であったため、表に顔を出さないことがいいだろう、と周りが配慮してくれた結果だった。

 とはいえ、再び相談所を開くのであれば、またどこかの部署に、期間限定でお邪魔することになる。ラモーナのところのように、ほぼ一人でいる部署ならともかく、大勢となると……それはそれで負担がかかってしまうため、休職の方を選んだ、というわけである。

 けれど病気で休職しているわけではない。日々、やることを失ってしまった私を見兼ねたグリフィスが、書店の手伝いをしてほしい、と申し出てくれたのだ。

 以前は手伝いたくても許してくれなかったのにどうして? と思ったが、それは私がグリフィスの正体を知らなかったからだ。
 今は家でもウサギの姿になって甘えてくるほど、私に気を許してくれている。だから書店への出入りも許可してくれたのだ。