召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「私が図書館に寄贈せず、自ら保管していれば、このようなことにはなりませんでしたから」
「それで、不注意……」
「はい。最初は保護するだけのつもりだったんですが……その、あまりにも綺麗な黒髪に見惚れてしまって……偽装結婚を持ちかけました」
「えっ?」

 そういえば、時々だけど、私の黒髪を褒めてくることがあった。グリフィスの方が綺麗だから、その度に何を言っているんだろうってやり過ごしていたけど……まさか、本気だったなんて、誰が思うだろう。

「名前もおそらく、独占欲だったのだと、今なら分かります。あの時、なぜ咄嗟に偽装結婚を持ち掛け、名前まで変えるように言ったのか、自分でも不思議に思っていましたから」
「ひとめ、惚れ、だったってこと?」
「結果としては」

 まさかのことに、私は開いた口が塞がらなかった。
 誰もが振り返るほどの美麗。容姿端麗、美丈夫、眉目秀麗、イケメン等々。あらゆる言葉で表しても足りないくらいの容姿をしている人物が、パッとしない私の髪を見て、一目惚れ? 冗談でしょう、と思った。いや、思わずにはいられなかった。