召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「姉は、ウルリーケは、本当に魔術が好きなんです。特に新しい魔術を生み出すことが得意てあるため、集中すると、周りが見えなくなるタイプでした。だからその時も、気にしなかったのです。けれど何カ月ともなると、さすがの私も……」

 見捨てられたのだと覚悟しました、と密着していなければ聞こえないくらい、小さな声だった。私の体に回された腕にも力が込められる。

「けれど本当は、ウルリーケの研究を支援していた者たちによって、私たちとの連絡を遮断されていました」
「っ! より、研究に集中させる、ために?」
「それもありますが、孤立させることで、より支援者たちへ依存させようとしていたらしいのです。ウルリーケもそうですが、私も……孤独を嫌うので」

 まるで、最近の甘えっぷりは、それが理由だとばかりにいうグリフィス。今はウルリーケの過去を聞いているはずなのに。

「けれどウルリーケもバカではありませんでした。支援者とトラブルになり、最後は堪忍袋の緒が切れたかのように、魔力暴走を引き起こし、ここ、ジェマナキア遺跡に逃げたのです」
「あっ、そっか。グリフィスたちと長い間、連絡が取れなかったから、ウルリーケもまた、同じように考えていたのね」
「おそらく。ですが、私の元に来ても、匿えたかは分かりません」
「えっ」

 だって、見捨てられたって言っていたじゃない。そんな人が自分の元に来たら、嬉しくないの? グリフィスなら、ウルリーケを守れたんじゃないの?

 そんな疑問が頭を過ったが、振り返った瞬間、言葉に出せなかった。首を横に振られてしまったのだ。