召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「……才能は、時に自分自身を破滅させます。いえ、破滅させようとする者たちを呼び寄せてしまうこともあるんです」
「どういうこと?」
「ある日突然、ウルリーケと連絡が取れなくなったんです。私は見捨てられた、と思いました」

 悲しそうな顔に、思わずウサギ姿のグリフィスと重なる。普段は誰もが振り返るほど容姿端麗な姿に、クールな性格。淡々としていても、言葉の端々には、気遣う心根を感じることが多い。
 だけど本来の姿でもあるウサギに戻ると、途端に甘えん坊になるのだ。

 今みたいな顔をされると、抱きしめてあげたくなる。でもここは外だし、神聖なる遺跡だ。私は自分にできることはないか、と探した結果、そっとグリフィスに寄り添った。

 ウサギもそうだけど、よく動物は体を寄せ合うから。これくらいなら、許されるわよね。

 けれどグリフィスが望んでいたのは、それとは違うようだった。肩をグイっと掴まれ、気がつくと背中から抱きしめられていたのだ。それもあろうことか、崩れた遺跡の壁を椅子にして座ったのだ。私を抱きしめたままの状態で。

 いくら寂れているといっても、ここは遺跡である。今はただの石に見えるかもしれないものであっても、一つ一つ、意味のあったものなのだから。
 そう抗議をしようとしたが、先にグリフィスが口を開いてしまい、私は黙るしかなかった。