召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「だって、これまでにも禁書は狙われていたって、ラモーナから聞いていたから」
「あっ、そういう意味ですか。けれど、それも含んでいますね。魔塔の中にもいない、とは限りませんから」
「……大変そうね、魔塔というところも」
「研究熱心なものたちが多いですから。その反面、罪人の処理には適しています。魔塔は常に、人手不足なんですよ」

 実験という意味だが、敢えて言う必要はないだろう。おそらくアゼリアは、違う意味で受け取るだろうから。そのため、一応釘を刺しておく。

「だから、魔術師である彼は適任ともいえます」
「それは残念だわ。私も手伝えるかと思ったのに」

 ほら、やっぱり。

「アゼリアにはアゼリアにしかできないことがあります。彼、いえ魔塔のことは、こちらに任せてください」
「うん。周りにも言われたことだけど、今はグリフィスのサポートに専念するわ」
「それは有り難いです」

 アゼリアが再び、優しく背中を撫でてくれる。甘えるのは苦手だが、この姿だとつい本能が刺激される。気がつくと、アゼリアに向かって両手を上げていた。

「えっと……」

 最初は躊躇っていたが、動かない私の姿に観念した様子だった。私の体を持ち上げ、その腕の中に納めてくれる。

 ウルリーケが選んだというのは癪だが、今では素直に思う。素敵な贈り物をくれたのだと。