召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「私は私で、グリフィスのウサギ姿を堪能できて嬉しいんだけど、ちょっと心配になるわ」

 図書館の応接室で、アゼリアと昼食を共にしていると、頭上から声が聞こえてきた。そう、ここ最近の私は、アゼリアの前ではよくウサギの姿に戻ることが多くなっていたのだ。

 魔塔の仕事に追われて疲れている、ということもあるが、一番はこの姿でいると、アゼリアとの距離がとても近くなるからだった。今も彼女の膝の上で昼食をとっている。
 格好悪いとか、惨めだとか。そんなことを考えている余裕はない。アゼリアの匂いと温もりに、癒されたかったのだ。

「元の姿に戻ってしまうほど、疲れているってことでしょう?」
「疲れているには疲れていますが、今はどちらかというと、意図的に戻っていますので問題はありません」
「……この姿の時のグリフィスって、時々可愛いことを言うわよね」

 どの辺が、と言い返そうとした瞬間、頭を撫でられてしまった。アゼリアこそ、この姿でいる時とスキンシップが多くなる。膝の上には、私が乗るのではなく、いつもアゼリアが乗せてくれるのだ。

「そういえば、館長から聞いたんだけど、マックスを魔塔の管理下に置くって本当なの?」
「黒いフードの男たち同様、彼も魔術師ですから、それが妥当だと思ったまでです」
「てっきり、重い判決を下すんじゃないかって思っていたから、安心したわ」
「……それは、あの男に気があったからですか?」

 図書館で働き出しても、相談所を開いても、特定の誰かに固執することはなかった。それにあの男は人間だ。私とは違い、アゼリアと同じ……。