召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

 お陰で大量の水蒸気が発生し、辺り一面、見えなくなってしまった。グリフィスは未だ、私の腕を掴んだままでいるため、傍にいるのを感じる。だけど、対面していたマックスや黒いフードの男たち。ラモーナや他の職員たちがどうなったのか、までは分からなかった。

「どうしよう」
「大丈夫です。彼らも魔術師ですから、自衛はできます。それよりも、今のは……」
「あっ、そうだった。突然、このカードが現れて」

 役目を果たしたカードは今、私の手の中にある。そっと表を捲ると『THE() MAGICIAN(マジシャン)』(魔術師)のカードが、顔を出した。

 得意げに片手を上げる白いウサギ。いや、グリフィスのお姉さんである、稀代の魔女、ウルリーケの姿が目に入った。タロットカードの始まりは、ゼロ番の『THE() FOOL(フール)』(愚者)だけど、一番である『THE() MAGICIAN(マジシャン)』(魔術師)は始まりを表すカードだ。

 準備が整い、いよいよスタートする、大アルカナの物語。だけど、封じられているウルリーケが魔術師だということを考慮すると、もしかして……。