召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「グリフィス?」

 けれど私の膝に乗ったまま俯き、何も言わない。垂れ耳だからか、しょげているように見えるのがズルいと思った。けしてその姿も可愛いと思ったわけではない。

「もしかして、グリフィスがやったの?」
「っ!」

 カマをかけると、グリフィスが勢いよく顔を上げた。

「やっぱり」
「どうして……知っていたのですか?」
「ううん。知らないよ。でも、今のグリフィスを見ていて思い出したの。獣人は、知性と魔力が備わったものだけがなれるってことを。だから魔術を使うことだってできるんでしょう?」

 こんな言い方はしたくないけれど、まさかマックスの調べ物の手伝いが、ここで役に立つとは思わなかった。

「……アゼリアの言う通り、私は魔術を使えます。この世界に不慣れなことや、狙われていることを考慮して、保護魔術をいくつかかけました。黙っていて、すみません」
「ううん。全部、私のためにしてくれていたことだし、平穏に暮らせていたのも、そのお陰だって分かったから、いいの。むしろ、そんなところまで世話になっていたんだなって知って、私の方が申し訳ない気持ちでいっぱいになったよ。自分のことばっかりだったから」
「仕方がないわよ。誰だって新しい環境や仕事に、すぐ順応なんてできないんだから」
「ヘルガ……」

 前からグリフィスと知り合いだって言っていたから、すでに私のことも分かっていたのかな。