召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「っ!」

 今日その男が行列に並んでいることを事前に知っておきながら、通したことへの怒り。だけど、その男だけダメ、というわけにはいかず、そのまま通すことになった罪悪感。

 文句を言えないもどかしさに苛まれていると、相手も分かっている、とばかりに首を縦に振った。

「大丈夫。アゼリアは生きている」
「えっ」
「忘れたのか、相手の狙いはタロットカードだ」

 その言葉に私は振り返り、アゼリアの周りに散らばったカードを見る。すると、あることに気がついた。

「タロットカードが、ない?」
「そうだ。男はタロットカードだけ奪い、逃走した。俺はすぐに奴の後を追うから、ヘルガはここでアゼリアを守っていてくれ。近くに仲間がいたら危険だ」
「うん、分かった。グリフィスへの連絡は?」
「もう済ませているから、すぐに来るだろう」
「そうね」

 今はちょうどウサギの姿をしているから、想像よりも早いかもしれない。アゼリアを想うあまり、姿を保てなくなったグリフィスだもの。

「こっちは任せて」
「おう!」

 そういうと、同僚は図書館の中に向かって走り出した。