召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「それはあなたを助けたことについてですか? それとも、あの男たちの事情を知っていることに対する疑問でしょうか?」
「……分からない」

 でも、疑問を投げかけずにはいられなかった。まるで駄々をこねる子どものようだとは思ったが、脳が処理し切れなかったのだ。

 私は俯き、彼の胸に顔を埋めた。あの男たちの仲間ではなくても、彼だって私の敵かもしれない。けれど縋れる相手が彼しかいないのだから仕方がない。

「とりあえず、この場から離れましょうか。またあの男たちが戻って来るとも限りませんから」

 その言葉に思わず体が跳ねた。すると、彼は優しく「大丈夫です」と頭を撫でる。私の心に、再び「どうして?」という言葉が浮かんだ。

 どうしてこの人は、初対面の私にここまでしてくれるのだろうか、と。そう思った途端、目の奥が熱くなり、涙が頬を伝った。声には出さなかったが、彼も気づいていたのだろう。
 離れたい、と言っていたのに、すぐに移動しなかったからだ。