召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「特に何かあったわけじゃないんだけど、しばらくアゼリアを預かってくれって頼まれたのよ」
「えっ? なんで?」
「ほらっ、アゼリアは家の鍵を持っていないでしょう。今帰っても、入れないし」

 そうなのだ。あれから鍵を持たせてほしい、と頼んだのだが、結局「持たせてもいいですが、使いどころはないと思いますよ」だから持たせるだけ無駄だと言われてしまった。

 今がその、使いどころだと思うけど! だけど本題はそこではなかった。

「つまり、グリフィスはどこかに出かけたってこと?」
「うん。そう、そうなのよ! さすが、アゼリア! 察しが良くて助かるわ~」

 ヘルガは胸の前で手を叩き、まるで今、妙案が思いついたような嬉々とした顔をした。

「おだてても無駄よ。本当のことを教えて。グリフィスに何があったの?」
「アゼリアが言った通りのことよ。本の仕入れに急遽、行くことになったんですって。それでたまたま前を私が通りかかったから、アゼリアのことを頼まれたの」
「急遽? たまたま?」

 私は訝しげにヘルガを見つめた。けれどヘルガはニコリと笑うだけで、明らかに真相を話すつもりはないらしい。