召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

「っ!」

 恐る恐る目を開けると、確かにグリフィスの顔が近距離にあったものの……これは、どういう状況? 頬と頬が触れあっている?
 異世界と私のいた世界とでは、こういうのも認識が違う、とでもいうの?

 だけど、グリフィスは人肌って言っていたから……つまり、そういうことなのかも。頬の触れ合いもまた、人肌だし……というのは無理はあるか。

「グリフィス……くすぐったい」

 すると躊躇いもなく、すぐに離れていく顔。頬に感じていた温もりがなくなり、少しだけヒヤリとした。まるで寂しいといっているかのように。

 それが心へと移ったのだろうか。温もりを求めて、再び顔をグリフィスの胸に押し付けた。

「すみません」

 頭上から謝罪の言葉が降って来る。何が「すみません」なのか、思った瞬間、突然睡魔に襲われた。

「姉の、ウルリーケの魔力を感じたら、懐かしくて……」

 グリ、フィス?

「どうして、あなたから感じるのでしょうか」

 悲しいの? 今日、浮かんだタロットカードの白ウサギみたいに。

「もしかして……いえ、すみません」

 再び謝るグリフィスに、私は声をかけたかったが、襲い掛かる睡魔に抗うことはできなかった。だから、その後に続いた言葉がなんだったのか、知らずに眠りに落ちた。

「アゼリアが占いをしなければ、ウルリーケもまた……」