召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

 そう思った瞬間、脳裏にカードが浮かんだ。それもあの白いウサギのタロットカード。ソードの九だ。
 ベッドの上で、顔を覆うほど悲しむ白ウサギ。壁にかけられた九本のソードが痛々しかった。

「何か悲しいことでも?」
「え? どうして……」

 思わず口に出してしまった言葉だったが、青年は驚いた顔で私を見た。突然、変なことを言えば誰だって、と思うだろう。しかし青年の反応は違った。

 どちらかというと……見透かされた。そう、私に心の内を見透かされたと感じたのか、顔がみるみる内に青くなっていったのだ。

 あぁ、やってしまった。

 占いは怖くないもの、と思いながら接していても、余計なカードを出してしまい、その度に私は相談者を怖がらせていた。今の青年の顔は、まさにあの時の利用者と同じ顔。

「あ、あの……私!」

 一歩前に出ると、青年は後退り、しまいには逃げていってしまった。幸いにも、一般書区間に向かって。

 ついていない……。

「占い師でもない私が、占いの真似事をしたから、罰が当たったのかも」

 折角、グリフィスの提案で占いから距離を置いたのに……これでは台無しである。合わせる顔がない。だけどこんなことを相談できるのは、グリフィスしかいなかった。

 私は誰もいなくなったスペースにしゃがみ込み、一人反省会を行う。今すぐ駆け出したい気持ちはあるけれど、ラモーナの仕事の邪魔をしたくなかったのだ。

 だけどこれはこれで恥ずかしいし……寂しいよ……。

 これから新しい仕事も兼任するのに、初日から前途多難だった。