結果発表の日。
部室の空気は、いつもより静かだった。
私たちは、ドキドキしながらも、少しだけ笑い合っていた。
「きっと出れるよね」
「今まで頑張ってきたもん」
そんな言葉を交わしながら、手を合わせて祈った。
先生が部室に入ってきて、
「発表します」
と言った瞬間、空気がぴんと張りつめた。
そして、次の言葉が、私たちの胸を一気に満たした。
「出るグループは、ターコイズブルーのところです」
その瞬間、胸の奥で花が咲いたようだった。
ぱあっと明るくなって、みんなでハイタッチ。
「やった!」
「めっちゃうれしい!」
言葉にならない喜びが、部室いっぱいに広がった。
次の日から、先生も練習をよく見に来てくれるようになった。
腹式呼吸の練習で、寝転んでマッピを吹いたり、風船を一息で膨らませる対決をしたり。
いつもとは違う練習が、なんだか楽しくて、グループの絆も深まっていった。
でもその頃から、双子の茄知子と弥簔との関係が、少しずつ崩れてきていた。
茄知子は、ちょっと前から学校に来るのがつらいらしく、遅れてくる日が増えていた。
私は、無理に話しかけるのも違うかなと思ったからそっとしていた。
その代わりに、クラスの別の子と話したり、体育でクラスの子とペアを組んだりしていた。
すると、弥簔のほうから言われた。
「なんで茄知子を一人にすんの!かわいそうやんか!」
……え? 私は、ただ距離を取っただけなのに。
おはようって言っても、挨拶してくれない日が続いていたから、無理に関わらないようにしていただけなのに。
私だってクラスで孤立したくないから話せる友達を作っていただけなのに。
それでも、
「まあ、話しかけていいなら、話しかけてみようかな」
って思って声をかけようとすると、 茄知子は急に逃げて、弥簔のほうに行って、こそこそ話し始めた。
こんなふうにされていたら、私が一人になるし、壊れてしまう。
そう思って、今までは二人と過ごしてきたけれど、休み時間は詩妃と図書室に行くようになった。
静かな場所で、少しだけ自分を守るために。
部活では、双子の茄知子と弥簔の“圧”が、少しずつ感じられるようになっていた。
視線、空気、沈黙。
正直昔から苦手なところもあった。
前まで、こんなに激しくなかったから、許していたというか、見逃してはいた。
ちょっと強引で、私が提案するとやだの一点張りで聞いてくれないところや、自慢されるところ。
2人は楽器を買ってもらったらしく見せてもらったから、いいなというと、「じゃあ奏流も買ってもらいなよ」と。
楽器なんて、そんな気軽に買えるものではない。
言葉にしなくても、何かが漂っているのがわかった。
でも今は、アンコンに向けてグループでの練習に必死だった。
よくわからない気持ちも、音に集中することで、少しだけ忘れることができていた。
毎日、練習しては
「ここ、もう少しテンポ落とそう」
「この入り、音が重なってないかも」
そんなふうに、メンバー同士で注意し合いながら、少しずつ曲を作り上げていった。
「やばい、まだまだやけど…」
「全然完成してない…」
焦りも出てきた。
でも、音を重ねるたびに、少しずつ“私たちのターコイズブルー”が形になっていくのがわかった。
そんなとき、桜田先生が、学校の先生の中で現役トランペット奏者の高見先生を呼んでくれた。
桜田先生と高見先生は、言っていることが一緒で、
「あーーーやっぱりできてないのか…」
落ち込む瞬間もあった。
でも、高見先生は、褒めながら指導してくれた。
「ここ、すごくいい音になってきてるよ」
「この入り方、前よりずっと自然になったね」
その言葉が、すごく嬉しかった。
誰かに認めてもらえることが、こんなに力になるなんて思わなかった。
部室の空気は、いつもより静かだった。
私たちは、ドキドキしながらも、少しだけ笑い合っていた。
「きっと出れるよね」
「今まで頑張ってきたもん」
そんな言葉を交わしながら、手を合わせて祈った。
先生が部室に入ってきて、
「発表します」
と言った瞬間、空気がぴんと張りつめた。
そして、次の言葉が、私たちの胸を一気に満たした。
「出るグループは、ターコイズブルーのところです」
その瞬間、胸の奥で花が咲いたようだった。
ぱあっと明るくなって、みんなでハイタッチ。
「やった!」
「めっちゃうれしい!」
言葉にならない喜びが、部室いっぱいに広がった。
次の日から、先生も練習をよく見に来てくれるようになった。
腹式呼吸の練習で、寝転んでマッピを吹いたり、風船を一息で膨らませる対決をしたり。
いつもとは違う練習が、なんだか楽しくて、グループの絆も深まっていった。
でもその頃から、双子の茄知子と弥簔との関係が、少しずつ崩れてきていた。
茄知子は、ちょっと前から学校に来るのがつらいらしく、遅れてくる日が増えていた。
私は、無理に話しかけるのも違うかなと思ったからそっとしていた。
その代わりに、クラスの別の子と話したり、体育でクラスの子とペアを組んだりしていた。
すると、弥簔のほうから言われた。
「なんで茄知子を一人にすんの!かわいそうやんか!」
……え? 私は、ただ距離を取っただけなのに。
おはようって言っても、挨拶してくれない日が続いていたから、無理に関わらないようにしていただけなのに。
私だってクラスで孤立したくないから話せる友達を作っていただけなのに。
それでも、
「まあ、話しかけていいなら、話しかけてみようかな」
って思って声をかけようとすると、 茄知子は急に逃げて、弥簔のほうに行って、こそこそ話し始めた。
こんなふうにされていたら、私が一人になるし、壊れてしまう。
そう思って、今までは二人と過ごしてきたけれど、休み時間は詩妃と図書室に行くようになった。
静かな場所で、少しだけ自分を守るために。
部活では、双子の茄知子と弥簔の“圧”が、少しずつ感じられるようになっていた。
視線、空気、沈黙。
正直昔から苦手なところもあった。
前まで、こんなに激しくなかったから、許していたというか、見逃してはいた。
ちょっと強引で、私が提案するとやだの一点張りで聞いてくれないところや、自慢されるところ。
2人は楽器を買ってもらったらしく見せてもらったから、いいなというと、「じゃあ奏流も買ってもらいなよ」と。
楽器なんて、そんな気軽に買えるものではない。
言葉にしなくても、何かが漂っているのがわかった。
でも今は、アンコンに向けてグループでの練習に必死だった。
よくわからない気持ちも、音に集中することで、少しだけ忘れることができていた。
毎日、練習しては
「ここ、もう少しテンポ落とそう」
「この入り、音が重なってないかも」
そんなふうに、メンバー同士で注意し合いながら、少しずつ曲を作り上げていった。
「やばい、まだまだやけど…」
「全然完成してない…」
焦りも出てきた。
でも、音を重ねるたびに、少しずつ“私たちのターコイズブルー”が形になっていくのがわかった。
そんなとき、桜田先生が、学校の先生の中で現役トランペット奏者の高見先生を呼んでくれた。
桜田先生と高見先生は、言っていることが一緒で、
「あーーーやっぱりできてないのか…」
落ち込む瞬間もあった。
でも、高見先生は、褒めながら指導してくれた。
「ここ、すごくいい音になってきてるよ」
「この入り方、前よりずっと自然になったね」
その言葉が、すごく嬉しかった。
誰かに認めてもらえることが、こんなに力になるなんて思わなかった。


