「だって、何も隠す必要ないじゃない。単なる人数合わせなんだし」

「あ、なるちゃん。忘れ物してる」

振り向くと、コウちゃんは、私の首筋の目立つ場所にキスマークをつけた。

「ひゃっ!どうしたのよ?なんで今このタイミングで⋯⋯」

「ん?出掛ける直前のほうが、くっきり残るから」

いたずらっ子みたいに笑う。

コウちゃんは、合コンに行くことに、これっぽっちも難色を示さなかったとはいえ、もしかして本当は気にしている⋯⋯?

とはいえ、そろそろ出なければ遅刻してしまう。

「じゃあ、もう行くね。終わったら連絡する」

「うん。気をつけるんだよ」

コウちゃんの部屋から、ひと駅だけ電車に揺られる。

彼氏の部屋に泊まって、そこから合コンに向かうという軽薄さ⋯⋯。

こんなこと、ほんの数ヶ月前の高校時代までは、とても考えられなかった。