可愛らしくペイントされたスペアキーを取り出してみたが、すぐキーケースに戻した。

コンビニにでも寄って、改めて来ようかな。

そう思った時、

「あ、なるちゃん!来てくれてたんだ?」

タイミングよく、コウちゃんが帰ってきた。

すっかり大人っぽくなったのに、私に向けてくれる無邪気な笑顔は変わらない。

「コウちゃん、お疲れ様」

「お疲れ様。俺がいない時には、部屋で待っててくれたらいいのに。スペアキー渡してあるんだから」

「うん。でも、いいの。これはお守りみたいなものだと思ってる」

もし、コウちゃんに疚しいことがあれば、スペアキーなんて渡すことはないだろう。

そして、私もコウちゃんを完全に信頼しているからこそ、勝手に部屋には上がらない。

疚しいことはなくても、見られたくないものの一つや二つぐらい、あるだろうから。