朝は得意な方。
しかし、今日は母親の起きろという声で飛び起きた。

時計を見ると学校に着いていなきゃ行けない時間だ。
美咲は隣を見る。

しかしそこに翔太の姿はない。
胸の奥がキュッとなり鼓動は早くなる。

まさかもう居なくなったの?


考えているうちに時間はどんどん進んでいく。

何も知らない母親からせかされ制服に着替え学校へ向かった。


学校に着くと遅刻してる生徒が2~3人。


やばい、遅刻だ。
翔太も居なくなってるし……


目に浮かぶ涙をこらえて教室に入る。


「あら美咲ちゃん、今日は学校来たのねよかった、さ席に着きなさいね」


担任が言う。
クラスメイトは何も言わない。


ふと翔太の席を見るとそこにはスケスケの翔太がいた。


「えぇ!!あれ!なんだ!」



クラスメイトが一斉にこちらを見る。
担任は不思議そうな顔をしていた。



「ごめんなさい。まだ頭寝てるみたいで……」



くすくすと笑う声が聞こえた。



「美咲〜恥ずかしいぞ〜」


翔太が美咲を見ながら言う。
美咲は何とも言えない感情になりながら時間が過ぎるのを待った。


休み時間になると翔太が美咲の机へ来た。
ニコニコしながら美咲の机の上に腰掛ける。


「美咲〜こうしてると思い出すなー」


美咲は小さく頷く。
クラスメイトに変に思われないよう声は出せなかった。

美咲はノートとペンを取り出し文字を書く。


『昼休み、屋上集合』


「屋上は出入り禁止だぞ!まぁ少しくらいいいか、怒られるの美咲だし!弁当食おうぜー」


言い返したい気持ちを抑え、美咲は拳を握った。
チャイムがなり授業が始まる合図。
翔太は自分の席に戻った。

授業中、翔太は美咲に向かって変顔したり
先生の話には大きな声で相槌をうったりとやりたい放題であった。

美咲は呆れながらもやんちゃな翔太を見て少し安心した。


昼休みになると美咲は席から立ち上がりお弁当を持つ。

「美咲、どこいくの?」

「あ、いやちょっとね……今日は1人の気分で」


美咲はいつも昼食を一緒に食べる友人からの誘いを断り、翔太と屋上へ向かった。


『生徒の立ち入り厳禁』


張り紙がある。
しかし、屋上への扉は壊れていて工夫をすれば誰でも開けられるようになっていた。
生徒たちは教員たちにバレないよう隙を見て屋上へ上がることが多い。

ドアノブを捻り、外へ出ると雲が浮かぶ青い空が広がっていた。
日差しが屋上を照らす。

「みーさき!弁当食おうぜ!」

翔太が地べたに座り込む。
美咲もそれに合わせ座り込んだ。

弁当箱を開け、昼食を摂る。

翔太の体は透けていた。


「なぁ美咲、隣のクラスの桂木ってやついるじゃん」


「桂木くん?それがどうしたの?」


「あいつぜってぇー美咲のこと好きだよな」


「はぁ?何言ってんの、そんなわけないでしょ」


翔太は真剣な顔で美咲を見る。
美咲は驚きを隠せない。

秋の風が美咲と翔太の間を通った。