正確には翔太と美咲のふたり。
翔太は俯きながら微笑んだ。

「母さんたち大丈夫そうだったな、よかったあんまへこたれてなくて」


翔太は安心したように床へ座る。

「美咲、そのハンカチ、持ち歩いてろよ、お前泣き虫なんだからさー」


「え!そういうこと?!さいてー別に泣き虫じゃないし」


「今日既に1回は泣いてるやつが泣き虫じゃないは嘘だなー」


「失礼な!」


翔太と美咲は笑い合う。
家の中にも響いていただろう。

少し時間が経ち翔太は立ち上がる。


「帰ろうぜ、もう両親の顔も見れたし満足」


「そっか、たまに遊びに来るね。」


「んなことしなくてもずっとそばに居るから安心しろよ」


翔太は美咲の肩に手を置こうとしたがやめた。

触れないから。


美咲は翔太の両親に挨拶をし自宅へ帰る。
外はすっかり暗くなっていた。

自宅へ帰ると美咲の両親が

学校はどうして休んだ、どこ行っていたんだと詰め寄ってくる。
美咲は苦笑いしながらその場をかわし、自室へ行った。


翔太を見ると手だけでなく肩まで透けていた。
終わりが近い。


「翔太、私お風呂入ってくるね!覗かないでよ!」


「へいへーい」


翔太は頭の後ろで取り組みベッドに座った。

美咲の部屋は静まり返っている。
翔太は美咲の部屋にある小さなテレビをつけた。

多分、ポルターガイストはこういうことから始まるんだろうなぁ

しみじみ翔太は思う。

時間が経ち、美咲が部屋に戻ってくる。
シャンプーの香りが部屋に充満した。


「遅かったね」


「何勝手にテレビつけてんのよ、ご飯食べてた」


「あんなに食ったのに?太るぞ」



「余計なお世話よ!」



枕を投げるが翔太には当たらない。
翔太はニヤッと笑い枕を浮かせ投げる。


「なにそれ!ずるすぎ!」


「お化けの特権〜!おら!」


ドタバタと騒ぎ廊下から美咲の母の叫ぶ声が聞こえた。


「うるさいわよ!こんな夜に騒ぐんじゃない!寝ろ!」


母親の怒涛の声を聞き、2人は静まり返った。
翔太はベッドに入りベッドを軽く叩く。


「美咲おいで」


呆然とする美咲に早くと声をかけ布団に誘導した。
布団の中は冷たい。


「よーしよし、ねんねーんころーりよー」


翔太は美咲の頭を撫でるふりをする。
美咲は翔太の胸の中。

そんな歌で眠くなるわけないと騒ぎ立てたが

翔太の匂いでいつの間にか眠ってしまった。