蓮くんと話しているうちに、少しずつ心が軽くなっていく。
でも、頭の片隅にはずっと蒼依くんの笑顔が浮かんで、胸の奥がチクチクと痛む。
「美優ちゃん、どうして黙ってるの?何か考えてるでしょ笑」
蓮くんが、優しい笑みで私の手をそっと握る。
その瞬間、ドキッとして顔が熱くなる。
「そ、そんなことないです…」
照れながらも、胸の奥が高鳴るのを感じる。
でも、すぐに思う。
―蒼依くんは今、私のことを待っているかもしれない。
その気持ちを考えると、嬉しいはずなのに、どこか胸が痛い。
「ねえ、美優ちゃん!今日、蒼依くんに会いに行くんだよね?」
蓮くんの声に、ハッとする。
「え、あ…はい…」
思わず答える私の声は少し震えていた。
「そうなんだ!じゃあ、俺は相談にも乗ったし、可愛い美優ちゃんとお喋りできたし、幸せなことばっかりだったから素直に引き下がります!笑」
蓮くんの言葉に安心しつつも、なぜか胸の奥がザワザワする。
「ありがとう!」
その夜、蓮くんの優しさに触れながらも、心は蒼依くんでいっぱい。
初めて感じるこの複雑な感情に、私はただ身を任せることしかできなかった。
蓮くんのお店を後にして蒼依くんのお店に向かう
ピコン
(美優ちゃんいきなり誘ったのに来てくれてありがとう!今日営業終わり後飲み行こう!)
複雑な気持ちを抱えながら、ちゃんと気持ちに整理をつけようと思う。
(わかった!また連絡してね)
可愛いスタンプと一緒に返信を返す。
蒼依くんに悪いことしてるかな?なんて考えてしまう。
お店についてドアを開けると蒼依くんと直ぐに目が合う。
「美優ちゃん!来てくれてありがとう!!」
やっぱりこの笑顔が1番だよね?って自分の心に質問しながら席に着く。
「今日来てくれないのかと思っちゃったよ」
不安だったよと言わんばかりに私のことを見つめてくるのがすごく申し訳なくて俯いてしまった。
「なんで下向くの?可愛い顔見せてよ」
ニヤニヤしながら私の顔を見てくる蒼依くんの顔が凄くかっこよくて、優しくてずっと見ていたいって思った。
蒼依くんとの時間はあっという間に過ぎて、蓮くんと会う時間になる
「美優ちゃん!!お待たせ!待った??」
全力で走ってきたのか、顔に汗を浮かべながら優しい笑顔で問いかけてくる蓮くんを見ると心が揺らいでしまう。
こんなの最低だなんて、わかっているのにそれもまた悲しくなった
「全然大丈夫!待ってないよ!」
笑顔で答える私をみて、ホッとしたようにわらってくれた
