最近は仕事が忙しくて、全然会えなかった蒼依くん。


でも今日は久しぶりに会いに行ける日で、胸が高鳴る。



蒼依くんの顔を思い浮かべて、ウキウキしながら準備を進める。


夜の街を歩いていると、目の前に一人の男の人が現れた。


「お姉さん、1人ですか?俺、ホストやってるんですけど、今から来ませんか?」


思わず足が止まる。

心の中は蒼依くんしか考えられなくて、断ろうとする。



「ごめんなさい、今から予定があって…」


私の回答を聞いて、男の人は続ける。



「そうなんだ…。悩んでそうな顔してたから声かけさせてもらったけど、予定あるなら仕方ないね」



優しい眼差しに、思わず目を離せない。



「なんでわかったんですか?」



「うーん、ホストの勘!」



満面の笑みで答える彼は、どこか蒼依くんを思い出させる雰囲気があった。


私は黙り込み、どうしようか迷っていると、彼は提案する。



「色々話聞くし、俺のところに来てよ。力になれることなら聞くよ」



「1時間だけなら…」



そう答えて、蒼依くんに少し遅れることをLINEで伝え、罪悪感もありながら彼について行くことにした。





落ち着いた雰囲気の店舗で、緊張しながら席につく。



「蓮っていいます。よろしくね!」


深々と頭を下げる私に、蓮くんは優しい笑顔で返す。



「そ、そんなにじっと見ないでくださいよ…恥ずかしいです」

いたずらっぽく笑う蓮くんが頬に手を当ててきて、私はドキドキする。




「悩んでる顔してたけど、何のことで悩んでるの?」



優しい声に導かれるように、今思っていることを全部話す私。




「そっか、辛いね…俺のお店は恋愛OKだから、違うかもしれないけど、俺は美優ちゃんが可愛いと思うし、一緒にいたいって思う」



顔を少し逸らして言うその言葉に、心臓がドクドクと跳ねる。