シャンパンコールが終わり、蒼依くんが私の席に戻ってきた。
「ごめん、今日はこの後一緒に居られない。また会いに来てね」
切なそうな顔で見つめる蒼依くんに笑顔で頷く。
こんなに近くにいるのに、ずっとは一緒にいられない。
毎回私の隣に居ることは叶わないとわかっているのにそう思えば思うほど悲しくなる。
No.1になってくれた喜びと一緒にいれない悔しさが入り混じって、涙がこぼれそうになる。
フロアで蒼依くんの笑顔を見ていると、心がぎゅっと締め付けられる。
あの笑顔が、自分には届かない――そう思うだけで、胸が痛い。
帰り道、あーちゃんに思わず電話をかける。
「今日、アフター行けなかった……。被りの姫に負けちゃったよ。」
「そっか……でも、美優ちゃん頑張ったんだから偉いよ。蒼依くんだって、絶対分かってるよ」
あーちゃんの声に少し落ち着きを取り戻す。
でも、やっぱり蒼依くんに会いたい――胸の奥の気持ちは増すばかりだった。
帰宅してスマホを開くと、蒼依くんからLINEが来ていた。
(今日はありがとう!また、次会えるの楽しみにしてるから)
その一言だけで、胸が熱くなる。
会えない時間があるからこそ、次に会える日が待ち遠しい――
そう思わせてくれる、蒼依くんの優しさが心に染みる。
