蒼依くんに会えなくなって、もう3日が経った。
「あーちゃん、どうしよう。蒼依くんに会いたくて仕方ないよ……。流石に、ちょっとやばいかな?」
不安に胸を揺さぶられながら、あーちゃんに相談する。
「もうそれは沼だね。美優、蒼依くんのこともう好きになっちゃったの?」
不意に言われた質問に、言葉が出せず黙り込んでしまう。
「あー!!もう大好きなんだね、笑」
電話越しで笑うあーちゃんの声が、心の中でこだまする。
私、好きになっちゃったのかな……?
今まで“好き”なんて感情に縁がなさすぎて、どう扱えばいいのか分からない。
分からないからこそ、胸がざわついて苦しい。
「好きになっちゃったら、どうしたらいいんだろう……」
不安に押しつぶされそうになりながら、勇気を出して聞いてみる。
「んー、そうだなー……恋愛は禁止だから、辛いと思うけど。それでも思い続けたいなら、それは悪いことじゃないよ。私は応援する」
優しい声でなだめられた瞬間、胸がじんと熱くなって、涙がこぼれそうになる。
「う、うん……ありがとう……」
少しどもりながらも返事を返す。
「また不安になったらいつでも話聞くからね!蒼依くんの気持ちは分からないけど、美優は可愛いから自信持っていいよ」
励ましてくれるあーちゃんに、心からありがとうと思いながら電話を切った。
ポコン
携帯を開くと、蒼依くんからのLINE。
(元気にしてるー?今何してるのー?)
その文字だけで、胸が跳ねるように高鳴る。
こんな気持ちになってもいいのかな……。
好きになっちゃってもいいのかな……。
不安が押し寄せる中、私はその気持ちに小さく蓋をして、返信を打つ。
(元気だよー!今、あーちゃんと話してたの!)
すぐに返事が返ってきた。
(そーなんだ!仲良いね!羨ましいよ!)
蒼依くんの笑顔が、頭にふとよぎる。
「あー、会いたいな……」
ぽつりとつぶやいた言葉は、一人の部屋に静かに消えていった。
ポコン
携帯を見ると、さっきまで電話していたあーちゃんからのLINE。
(3日後、お店のナンバーが決まる日なんだってー!一緒に行こう!)
突然のお誘いに驚きつつも、蒼依くんに会える喜びで胸が弾む。
心の奥が、わくわくと刺激された。
その時、蒼依くんからLINEがもう一通。
(俺が会いに行ったら美優ちゃん、笑ってくれるかな?笑)
冗談ぽく送られてきたのに、胸がドキッとして、つい笑みがこぼれる。
会える日のことを想像すると、心臓の音が大きくなっていく。
