「でも、俺たち……好きになっちゃダメだよね」
忠告を思い出して、胸が痛む。
それでも蒼依くんは、私の手を軽く握る。
「俺も分かってる。でも、美優ちゃんと一緒にいる時間、すごく楽しいんだ」
その言葉に心臓が跳ね上がる。
どうしようもなく、彼の近くにいる自分に気づく。
「私……私も……」
言いかけて、でも止める。
好きになっちゃいけない、分かってるのに――。
少しの沈黙のあと、蒼依くんが笑った。
「さ、そろそろ戻ろっか。あーちゃんたち待ってるし」
ベンチから立ち上がり、手を差し出される。
その手に触れるだけで、胸がぎゅっと痛む。
「う、うん……」
その夜、私は気づく。
またすぐお店に行って会いに行きたいと思ってる気持ちに―
好きになっちゃいけないのに、もう抑えられない。
