〈RX-Λ〉の戦闘記録と粒子反応の解析結果は、軍本部の特別監査室に送られていた。

「ニュータイプ同士の共鳴によって、機体が空間干渉を起こした……?」

「もはや兵器ではない。これは“意志を持つ存在”だ」

上層部は、〈RX-Λ〉とそのパイロットであるレイ、そして副操縦士アヤを“制御不能な要素”と見なし始めていた。

その頃、〈ノクターン〉艦内では異変が起きていた。

通信が遮断され、補給が遅れ、艦内の一部区域が封鎖された。カレン・ヴァルツ隊長は、軍本部からの命令に違和感を覚える。

「これは……粛清の前兆だ」

彼女は密かにアヤとレイを呼び出す。

「君たちは、軍にとって“奇跡”であると同時に“脅威”でもある。このままでは、君たちは実験体として処理される」

アヤは震えながら言った。

「私たちは、ただ……誰かを守りたかっただけなのに」

レイは静かに頷いた。

「戦うために生まれたと思っていた。でも、君と出会って、違うと知った。だから……逃げよう」

カレンは、ふたりに脱出用の小型艇と座標データを渡す。

「〈エクリプス〉という独立勢力がある。ニュータイプだけで構成された集団だ。彼らなら、君たちを受け入れるかもしれない」

その夜、〈RX-Λ〉は格納庫から密かに発進した。

艦内の警報が鳴る。追撃部隊が出動する。

だが、ふたりの共鳴はすでに限界を超えていた。

「アヤ、粒子制御を任せる」

「了解。あなたの“心”に合わせる」

〈RX-Λ〉は空間を歪め、追撃部隊の視界から消える。

その軌道は、まるで星屑のように散り、そして消えた。

逃亡は成功した。

だが、ふたりの前に広がる宇宙は、未知と危険に満ちていた。

そして、彼らが向かう座標の先には――ニュータイプだけで構成された〈エクリプス〉が待っていた。