シオン─貴方が心に灯してくれた光の花─

大好きな習い事を続けるために、通信教育のテキストやテスト対策問題を解いて、しっかりと授業を聞いてノートも取って、毎回テストで満点を取っていた。

調子が悪い時は九十点台。
九十点台は良い点数ではない。

そんな点数を見せたら確実にお説教。

『こんな問題も解けないのか!もっと勉強に集中しないといけないな…これ以上低い点数を取ったら、問答無用で習い事全て辞めさせるからな?分かってるよな?』

唯一の息抜きの時間で、家族に偽りのない笑顔を見せられる大好きな習い事をやめさせられてしまう危機。

まあどうせ、小学六年生までの約束でやらせてもらってたからどう足掻いても、ずっとは続けられなかったけど。

でも、その時間だけはどうしても取り上げられたくなかった。

だから満点以外取ってはいけない。

他の家庭からみたら我が家はスパルタらしい。
でも、完璧主義で自分ができることは他人もできると思っている父親からしたら、それが普通。
だから私の普通でもある。

私は誰にも点数は言うことはなかったのに、どこからかこのことがバレてしまった…。

クラスはすでに崩壊している。そして、先生はテストを置くとすぐにどこかに行ってしまう。

だからもちろんのこと、カンニングが横行する。

何人もの男子が私を取り囲んで、『早く解けよ!間違えんなよ?間違えたら殺す…』などと脅迫してきて、挙げ句の果てには一問でも間違えると『お前、ほんとにバカだな…どうしてくれんだよ、お小遣いかかってんだよ!』と言われる。

私は満点だったとしても一円ももらえない。

自分で解いたら満点だったのかな…と思うけど、当たり前に声にはならずに終わる。

そして口を結んだまま俯いているだけだから、頭を掴まれて鳩尾(みぞおち)を蹴られながら罵られる。

それに何で私が敵に塩を送らないといけないんだ。

だからわざと間違えることもあった。
自分の答案だけ満点だと、何人もの人にやられてしまうから何回かに一回だけ。

テストはとてもストレスだった…。
満点を取るのが当たり前だったはずなのに、九十点台しか持って帰って来ないから親に『こんな点数ばっかり取って、生きていて恥ずかしくないのか。バカが無駄に酸素を吸ってて申し訳ないと思わないのか。』と言われるようになった。
家でも怒られて、学校でもこんなことされないといけないのかと思うと胃が痛かった…。