シオン─貴方が心に灯してくれた光の花─

一番酷かったのは、校外学習の班決めの時。


「あっ、嘘つきだ!」

「うわ〜、空気悪っ!!」

「嘘、つかないでね?」


“嘘つき”


初めて顔を合わせた人にそう言われた時、人は腹が立つ。それに気づかせてもらえた。


嘘つき…?
私がいつ、貴方に嘘ついた?

もし、仮に私が貴方に嘘をついたとしたら“嘘つき”だと言っても良いと思います。
だけど私は、貴方たちに嘘を付いたことは一度もないです。
だから、“嘘つき”なんて言わないで。

そんなくだらないことで、無駄に労力や時間は使いたくないから、何も口にしなかった。
ずっと机と目を合わせていた。


でも、それは表向きの理由。
“嘘つき”だからこれくらいの嘘は許して?

本当は何かを言ってもっといじめが酷くなるのが怖かった。
そして、口は何かで固く結ばれて喉に何かが引っかかって声が出せなくなる。だから俯いているしかなかった。

そう、所詮私は逃げに走る小心者。


それに、あの人たちの仕業だって知っているから…。

…そんな人たちは、私の友達には必要ないから良いよ。


居場所がどこにも見つからなくて、机に落ちた自分の影をずっと見つめていた。


私は、気分を晴らすために見晴らしが良くて、こんな所よりも断然空気の良い“あの場所”に行くことにした。


ただ深く息を吸いたかった。綺麗な汚(けが)れていない空気を深く吸い込みたかった。


“あの場所”に行くと毎回、この世界にもまだちゃんときれいな空気もあるのだと、私にしか分からない嬉しさを味わえる。