「しかし、何で急に教える気にになったんだろ」
夜、ベッドにごろりとうぶせになりながら莉里ちゃんからメッセージが来て添付されたURLを眺めていると、天真が私に覆いかぶさってきて私のスマホを取り上げる。
「お前があまりしつこかったから、これ以上会社に押しかけられると困るってとこだろ?」
「そーかなぁ」
そんな感じには見えなかったけど。
間近にある天真の顔を見ると、天真は”A”のHPを真剣な目つきで隅々まで眺めている。
「五年前はHPなんてなかったのに」とブツブツ。
「五年も前の話だよ。日々時代は変わってるの。宣伝の方法もね」とスマホを取り上げると、天真の腕が私のおなかに回り後ろから抱きしめられた。
「ちょっと天真ー、今ふざけてる場合じゃないって」
「ふざけてるわけじゃない。俺がこーしたかったの」
もう。天真って我が道を行く俺様かと思いきや時々甘えん坊になるんだから。
「彩未、シャツ一枚だったら風邪ひくぞ」
「あ、ごめん。私の服殆ど洗濯中で天真のシャツ借りちゃった」
「それはそれでそそる」
チュっと首筋にキスが落ちてきて「ひゃ」私は間抜けな声をあげた。
「もう、おふざけは…」
と振り向いた瞬間、天真の大きなシャツが私の右肩から少しだけずり落ちた。ちょうど肩甲骨の上ら辺に視界を入れた天真が目を開いた。
「おま……これ……」
そっか……最近ご無沙汰してたから気付かれなかったけど、私のその辺りには羽根のタトゥーがある。最近彫ったものだ。と言っても天真の背中にいっぱいに広がる立派な翼ではなく横に長く面積も小さいけれど。
「ダメ……だった?」と振り返りながらすぐ傍の天真を仰ぎ見ると
「いや、タトゥーは俺の中でNGではないが。やり過ぎは引くけどな。でもこれぐらいは…」
良かった。
「これで私たち、二人で飛べるよ。片方ずつの翼だけどね。手を取り合ったら絶対
飛べる」



