「これもいいんじゃないか、こっちのもお前に似合う。こうゆうのは俺のタイプだな」と店員さんの腕の上にはあっという間に服の山が積まれていく。ついでに靴やアクセサリーもどんどん選ばれて行って。
それを全部フィッティングで試着してカーテンを開ける度、天真は首を首を縦に振ったり横に振ったり。
つ、疲れる……
結局、天真のお気に召した服は十着程に収まった。私が絶対に選ばらないようなエレガントかつ高級な服たち。ちらりと値札を確認すると目ん玉が飛び出そうになった。
「気に入ったのはあったのか?」
天真に聞かれて、そりゃどれもステキで私が一生着ることができない服ばっかだったけど値段が……無理…無理無理無理。
例えお給料が出たとしても一着で消えてしまうような値段にビビッてしまってとても手が出ない。
「じゃ、それを全部貰おう」
私は空いた口が閉じない状態。
「て、天真……私お金持ってないって言わなかったっけ」と不安げに天真を揺すると
「誰が彩未に払わすと言った?これは俺の完全な自己満足だからな。あ、それ着て帰るから」と言って店員さんに指示して私はもう一度フィッティングに入る羽目に。
店員さんに渡されたのは黒いシンプルなボディラインがとてもきれいなタイトなワンピース。二連のパールにカメオのブローチがオシャレに配置されている。同じくカメオとこれってダイヤ??もついているのイヤリング。
これ、どこのパーティーに着ていくのよ、とツッコミながら、もうくたくたで出ていくと天真は
「すっげぇ似合ってる」
と明るく笑った。
ずるいよ、そんな顔されたらどんなことも断れないじゃん。



