嘘つきな天使


「ホントにいいの?きれいな髪なのに」と美容師さんに再度確認されたが、私は思いっきり頷いた。

「じゃ、いくわよ?」と若干おネエ入っている美容師さんがハサミをシャキシャキ言わせている。

イマドキ失恋で髪切るのは流行らない?上等だ!この際だから全然違う自分になってやる。

ジャキジャキと切られていく私の髪に未練はなかった。

「うーん、このままだったらちょっと重いわね。ちょっとパーマ当ててみてもいい?長い前髪は顎の辺りで切って。メッシュなんて流行りよ」と美容師さんの発言に

「好きにしてください」もうやけくそだ。

カットやカラーパーマ、シャンプー、ドライヤー、時間にして一時間ぐらいかな。出来上がった私の姿が鏡に映って私は目を開いた。

わ!まるで別人みたい!

生まれてはじめてしたカラーとパーマに私のテンションはマックス。顎の辺りで切った髪は緩やかなふわふわパーマがまるで天使の羽根のよう。真っ黒だった私の髪は明るい栗色で所々金髪の束が出来ている。

腕はいいって言ってたけど正直ちょっと疑ってたけど想像以上の出来だよ。まるで自分じゃないみたい。

「じゃ、次はメイクね」といつの間にかメイク道具を詰め込んだパレットやらを持ち込んできた美容師さんに、今度はやっぱり引き腰。

だって私メイクなんてしたことないし。

「普段は化粧しないの?」

「あ、はい。一応化粧水はつけますけど」それもドラッグストアで売ってる一本500円ぐらいの安いの。

「信じられない!肌がこんなにきれいだからファンデーションはつけずにパウダーだけ乗せて、このくっきり二重には重くなり過ぎないピンク系シャドウとくっきりアイラインがいいわね。唇の形も良いし顔色もいいからコーラル系のリップが似合うわね」と美容師さんが一番楽しそうなのは気のせい?

人生で一度も手入れをしたことがない眉もカットして整えてくれて、

「はい出来上がり♪」

との言葉でずっと目を閉じてされるがままの私は恐る恐る目を開けると

嘘!!!!

これが私!?

まるで別人!!