「―――…み、彩未…」
ゆさゆさ揺さぶられて
「んー、もうちょっとぉ……」と布団を顔まで引き上げたが
「休ませてやりたいが30分て約束だろ?」と布団を強引にをめくられる。
「そーだけどぉ…」30分どころか私3秒も寝てないんじゃない?ってぐらい気持ちだ。
でも……何だかこうゆうの新鮮かも。
昔から(実家に居たときから)私は誰かに起こされる前に自分で起きてたし。とにかく自分のことは自分でするって言うのが身についていたのかな…
誰かに何かされるのってちょっと新鮮。
そう思うと眠気もどこかへ飛んで行った。
「何かするの?あ、由佳のお見舞いとか」と聞くと、天真は意味深にニヤリと笑った。
何その笑顔。怖いんですけど……
顎を引いていると
「トレーニングだ。お前が望んだことだろ?護身術を教えて欲しいって」
そー言えば言った気が…
てか今から??
「午後の診察まで3時間ある。みっちりやるぞ」と天真だけがやる気満々。言い出した本人より真剣だよ。
天真はこの寒いのにタンクトップ姿一枚で、動画で見た手にグローブを付けてなかった。
「あれ?グローブは?」
「グローブ?ボクシングかキックボクシングでもするつもりか?」
と天真がキョトンとして聞いてきて、しまった!私天真が格闘技してること知らないことになってるんだよね。慌てて唇を噛み
「いや、何となくイメージで」と何とか言い訳して苦笑い。
「そっか。でもお前に教えるのは空手に近いかな。腕一つで闘える」と天真は気にしてない様子。それにちょっとほっ。
でも、へぇ、そこまで考えててくれたんだ。
二人でベッドを壁際まで避けて、私と天真は改めて向き合った。
「いいか?俺が教えるのはごく簡単で基礎的なものだ。これさえ身に付ければほぼ何とかなる」
ごくり、私は喉を鳴らした。
格闘技なんて29年間無縁だった私にホントにできるのだろうか。
今更怖気づいてしまった。
「何?怖いの?」と天真にまたも笑われ
「ち、違うもん!」と反論。ちょっと子供っぽかったかな、と言った後になって急に恥ずかしくなった。
天真は私の腕を掴むと
「まずは男にいきなり手を掴まれた場合だ。その場合自分の手首を捻って」
天真は(勝手に)スパルタだと思っていたが、その教え方は丁寧で親切だった。どの技も私ができるまで、しかも疲れないギリギリまで様子を見てくれて時間はあっという間に過ぎていった。
「よし!その調子だぞ!うまい、うまい!」とできたらできたで褒めてくれるし。
産婦人科の先生としても腕がいいみたいだけど、こっちの方も意外に向いているんじゃ?



