嘘つきな天使


結局、香坂さん私たちの関係を誤解したままなのかなー

ちゃんと言うべきだった。「付き合ってないし、恋人同士とかじゃありません」って…

でも信じてくれるかなぁ。だって年ごろの男女が一つの部屋で寝起きしてるなんて……普通だったら何らかの関係があるって思うだろうし。

ま、口が軽そうな人じゃないから大丈夫かな。受付以外何人かいる看護師さんたちはさっさとお昼休憩に出かけちゃったし。

天真は私が二階へ上るより早く二階住居部分に居たようで

「よ、疲れただろ。コンビニで悪いけど昼飯買ってきたぞー」とコンビニのビニール袋に詰まったあれこれをテーブルに並べる。見慣れたおにぎりとかサンドイッチとかカップスープとか。

「気持ちは嬉しいけど、居候してる身だし何か作るよ」と言うと

「それはもっと慣れてからでいい。今日は疲れてるだろ。休める時は休め」

「でも……」と尚も言うと

「そんなんだから前の彼氏に捨てられるんだぞ。変に尽くし過ぎ。たまには自分の体や気持ちに向き合って無理せず人に甘えなさい」

天真が私の眉間に指を置き、私は寄り目。

尽くし過ぎ、たまには甘える。

そっか……知坂は私が何でもやってくれるって思ってからあんな風な考えになっちゃったわけで……いつの間にか私無理してたのかな……てか知坂あの人、それ以前にその素質はあった気がするけど。

でも、甘えていいって―――天真ってやっぱ優しいなぁ。最初は変なヤツだと思ってたけど。

天真が買ってくれた鮭おにぎりとパスタスープを食べるともうお腹いっぱいで、疲れも相まって、ね……眠い。

瞼が重くて今にも落っこちそうだよ。

「もう食わないのか?」と言う天真の言葉にも数秒遅れで「あ……うん、お腹いっぱいで…」と眠気なのか声がかすれた。

みっともなー……恥ずかしくて思わず口元を押さえると

「まぁ初日だしな。午前中は特に混むし疲れたろ。三十分仮眠取れ」と天真は私の腕を取った。

そのまま隣の寝室に行かされると、両肩を押されベッドに倒された。

ね、寝るって……?ちょっとだけ疑いの眼で天真を見上げたが天真はあまり興味がなさそうに

「俺、下でやることあるから。30分後ぐらいに起こしに来るから」と言って下に行ってしまった。きっと午前中の診療の後仕事とか残ってるのね。てか何で30分後?まぁ30分も寝れば回復するよね。

なんて考えているうちにあっという間に眠りに落ちた。