嘘つきな天使


じゃ、じゃぁ何であんな街のハズレの言っちゃ悪いがおんぼろ産婦人科医してるの?

聞きたかったことはたくさんあったけれど、びっくりしているとあっという間に眼科に到着した。

眼科医の先生は女医先生で何かエロい雰囲気を纏いながら

「あら天真せんせ、珍しい」
「ちょっと事情があってね。こいつにコンタクトを作ってやりたいんだが」と天真が説明すると

こ、コンタクト!?

「い、いい!私生まれてこのかたコンタクトが怖くて付けられなかったから」

と慌てて手を振ると、エロそうな女医先生がこれまたエロく赤い唇でふっと笑い

「お嬢さん、メガネも似合うけれどコンタクトにしたらもっと可愛いわよ?」とにこっ。

か、可愛い!?

何度も言いますけど私可愛くないんで!

何とか断ろうとするも、ぐいと天真に力強く背を押され、こ、断れない状況――――!!

私はあれやあれやと言ううちに視力検査や眼圧検査、診察を受けてコンタクトを用意された。生まれて初めて付けるコンタクトは怖くてなかなか入らなかったけど、一度つけてみたら

何これ!視界がクリア!!

今まで何だったの!って言うぐらい色々見える。

「お♪似合うじゃ~ん」と天真が顔を出し、天真の顔を見ると

え………

この人、こんなイケメンだっけ。これで髪を整えてそれなりのオシャレな服を着ればかなりのスペックになるのでは??
と初めて気づいた。

「度が合ってないメガネをずっとつけてたのね~」と眼科医の女医さんが腕を組んでため息。

「ところで彼女、天真くんの彼女?」と女医先生が私に顔を近づけてきて、てか近い近い!

「違いま……」と否定しようとしたとき

「そ。だからお前手ぇ出すなよ」と女医先生に向かって指さし。女医先生は小さく舌打ちをした。

手…!てか天真も否定してよ!!

「こいつはオトコに興味がないレズビアン。彩未がいくら可愛いからってもう俺が唾つけたもんねー」と天真は子供のように舌をべーっと出しあかんべ。

つ、唾……!?ま、まぁ”アレ”はつけられたうちに入るのか?