~Hiroki~
「うぉっ、さみぃ~!!教室ってこんなに寒かったっけ?」
「都会帰りのお坊ちゃんには、ちょっと故郷(田舎)は寒かったのかなぁ?」
久々に入った教室に、俺の顔を見て一人クスクス笑う磯山がいた。
「悪かったな。てか、またお前の隣の席かよ!?」
「あー、そうみたいね。まぁ、この試験終われば席なんて関係ないけど。」
「確かに。なんでこんな時に卒業試験なんかあんだよ。」
「まぁ、武田くんにとっては良いものだけどねw」
隣で嫌みったらしく言う磯山の横顔も、
これで最後か。。。
どれもこれも・・・"最後"という言葉が多い。
「仕事、順調?」
磯山は細かい字でぎっしり書いてあるノートをペラペラめくる。
「ああ、まだ仕事といえる仕事じゃないけど。
あっ、それと、全国大会見に行けなくてゴメンな。
終わったら結果あとで教えてくれよ。
2回戦には見に行けるようにするから。」
「はいはい、じゃあ頑張って勝たないとだね。」
ノートを見る磯山の顔は少し楽しそうに笑っていた。
「いいなぁ~、お前は青春しててw
俺はもぅ青春なんてとっくに終わったしww」
「そう?あたしは、武田くんのほうが羨ましいけど。」
「へ?」
滅多に褒め言葉(?)を言わない磯山がおかしな事を言って、
頭が混乱した。
「自分がしたい仕事、今してるじゃない。
あたしなんか、大学に合格したはいいけど、
就きたい仕事になれるかどうかまだまだ分からないし。。。」
磯山から聞いたことない不安のこもった本音。
「でも、磯山はなれると思うよ。教師に。」
「どっからそんな根拠ないこと言えるのよw」
「心から♪」
磯山は笑った。



