~Yusuke~
「はざまぁ~すっ!」
俺はグラウンドに入る前にデッカイ声で挨拶した。
ベンチに行ってみると、いつもいるはずの磯山が居なかった。
すると、さっきまでグラウンドの周りを走っていた田口がこっちに走ってきた。
「う~すっ!」
「おつかれ~。磯山は?」
俺はトレーニング服に着替えながら聞いた。
「センター試験だってぇ。」
えっ…センター試験って…
「磯山、大学希望なの?」
「そんなんじゃん?」
「受かるの?」
「知るか!…でも、国立だって。」
「国立っ!!!!??」
着替え終わり、準備運動を始めた俺は目を丸くした。
「受かんの!?」
「だっから、知るかっ!!
でも、今まで時間を野球に費やしてきたんだから、
期待は出来ねぇと思うよ。」
「そうか?俺は、磯山は何事にも一生懸命だから大丈夫だと思うぞ♪」
田口は俺を見て笑った。
「そんな人生甘く出来てねぇよ。お前と彼女さんのように。」
「なんで俺と幸が出てくんだよ。」
「愛は地球を救うってやつだよww
あっ、でも温暖化始まってますねぇ~ww」
「全然意味分かんねぇっっ!!!!!」
田口はケラケラと笑い逃げた。
俺はそんな田口を追いかける。
こんな事言ったらまた田口に「人生は甘くない」と言われそうだけど、
磯山が志望の大学に合格して、
幸の足が治りますように…



