でも・・・今しかない・・・
「桜さん・・・ブレスレットのこと・・・悠チャンに言っちゃダメ?」
普通だったらその事に触れちゃいけないかもしれない。
でも、なんとなく桜さんは私達と重なっているような気がするから・・・。
桜さんは少し黙り、重い口を開いた。
「そのブレスレット・・・中1の時、元彼に貰ったんだよ。
だけど、そのあと元彼が浮気したの。」
桜さんは私の後ろで悠チャンに話した。
「捨てたくってもさぁ・・・捨てられないんだよ。
だから、代わりに誰かに捨ててほしいの。」
桜さんは消えてしまいそうな小さな声で言う。
「・・・・。」
私の後ろに居る桜さんがどんな顔をしているのか見えないけど、
悠チャンの真剣に考え込む顔が悟った。
「分かった、俺が捨てとく。」
悠チャンは顔を上げ、キリッと目でうなずく。
それが・・・悠チャンの答えなんだね。。。
「ありがとっ。恩にきるよ♪」
桜さんは笑って悠チャンの隣を通り過ぎていった。
少し経ってから私は悠チャンに話しかけた。
そしたら、悠チャンは、
「これ、お前が持ってて。」
と言って、私にブレスレットを渡した。
「捨てなくていいの?」
「捨てる必要なんてねぇよ。
いつかそれを見た時、良い思い出だったって、
桜だったら笑うんじゃねぇのか?ww」
これが悠チャンの本当の答え。
悠チャンはいつもの太陽みたいな笑顔だった。
その夜、桜さんからの初めてのメールが来た。
≪同情なんてしないで、ヘラヘラ笑っててよ。≫
たった一行の文。
それでも、
数少ない私のメールBOXに入っているメールの
一つの宝物。



