~Hikaru~
また悠ちゃんと目が合った。
悠ちゃん…悠ちゃんが見なきゃいけないのは、
僕じゃなくて田口さんだよ…。
「薬効いてるみたいだな♪」
柵に手を掛けて先輩はあのバッテリーを見てニヤニヤ笑っている。
「薬って?…」
「お前だよ。まさかこんなに効果あるとは思わなかったぜ。」
先輩はクックックッと笑う。
僕たちのベンチは薄暗く感じた。
薬って…僕は普通に野球がしたいだけだよ…。
ずっとずっと憧れ続け、追いかけてきた先輩と
こぅして試合が出来るのだから…。
・・・なんて、この隣にいる先輩に言っても無駄だって分かってる。
僕は…僕自身が薬なのだから。。。
もぅどうしようも出来ない。
「おい、あのバッテリーなんかモメてるぞ?」
先輩の目先には悠チャンと田口さんがグランドで、
何か言い合いしているのが見えた。
あの二人の喧嘩は何回か見た事があったけど、
マウンドで喧嘩するなんて初めてだ。
「もぅ、あのバッテリーも終わったなぁ…。」
先輩は音をたててベンチに寄り掛った。
見たくない…。
「おい!どこ行くんだ?」
「トイレです…。」
僕はベンチを離れた。



