ことの発端は、私が朝寝坊をしてしまったことから
始まる。


「え!もう七時半じゃん!」


目を覚ますといつも家を出る時間だった。

アラームをセットし忘れたのだ。

いつも割ときっちりとした性格の私がアラームを
セットし忘れるとは余程緊張していたのだろう。


「お母さん!なんで起こしてくれなかったの」


私は叫びながら階段を滑るように下りた。


「え〜そんなの知らないわよ」


母は優雅にパンを食べながら紅茶を飲んでいた。

もう朝ごはんを食べている時間もない。

急いで顔を洗って歯磨き、着替えを済ませて
少し口にリップを。

これでも今日から高校2年生なので
少しでも大人っぽく。

「やば、こんな時間、行ってきまーす」

母の返事を遠くに感じながら私は家を出た。