壁の中の彼氏

「そんなんじゃダメだよ。いいように利用されて、亜美の創作時間がどんどん削られるんだよ?」
 文句を言いながらも友惠も手伝う気でいるようで、掃除道具入れから雑巾を取り出した。
 まるで、はじめて部室を掃除したときの光景のようで、思わず亜美は笑ってしまった。
「笑い事じゃないってば!」
「ごめんごめん。でも本当に大丈夫だから。時間はまだあるし、焦ってもいい作品は書けないんだし。こういう経験だって、いつか作品に書ける日が来るんだし」
 亜美の言葉に友惠は雑巾がけをする手を止めて口をアングリを開けた。
「いつからそんな悟りを開くようになったの?」