壁の中の彼氏

 優子は友惠へ視線を向けることなく、亜美にホウキを突きつける。
「そうだけど、こっちは次のコンテストに参加するから忙しいの。わかるでしょう?」
「次のコンテストなら亜美だって参加する予定だよ」
 友惠は負けじと食いついた。
 確かに次のコンテストにはアミも亜美も参加予定だ。
 文芸部の中では優秀な地位を築いてきたアミと、突然現れた転校生の亜美との戦いに興味を持っている生徒は沢山いる。
「そっちはもう書けたってきいたけど?」
 ついさっき顧問が亜美の作品を読んでいたことをしっかり確認していたみたいだ。
「悪いけど、こっちはまだ書けてないの。だから時間がない」