壁の中の彼氏

「だけどその後の展開についてはなにも考えてないの」
「そうなのか。プロットはどうした?」
「プロットってなに?」
「プロットいうのはな……」
 それから男は亜美に小説のイロハを教えてくれた。
 キャラクターの作り方、物語の作り方。
 それに亜美の作品に助言もしてくれる。
 亜美はその話を聞きながらだんだん男に打ち解けていった。
 これは夢じゃない。
 現実にありえないことが起こっているのだと気がついても、もう恐いことはなかった。

☆☆☆

 それから毎日、亜美は学校から帰ると壁の中の男に話しかけるようになった。
 男は大抵の質問には答えてくれたけれど、
「あなたの名前は?」