壁の中の彼氏

 だけど最初に考えていたアイデアを思い出すことができなくて、亜美は頭を抱えた。
 すぐにネタ帳を探してみたけれど、そこにもこの作品については何も書かれていなかった。
 どうやら本当に思いつきで書き始めた作品みたいだ。
 ということは、ちゃんと練り直す必要が出てくる。
「あ~あ、今回も最後まで書けないのかなぁ」
 椅子の上で伸びをしてそう呟いた時、またコトリと音がした。
 今度は窓に近い壁から音がなったことに気がついた。
「壁の中になにかいるの?」
 亜美は出窓へ近づいてそこの壁に耳をつけた。
 その瞬間だった。
「いる」
低い男の声に「キャア!?」と悲鳴を上げて飛び退いた。