壁の中の彼氏

 むしろ、執筆するときには一人の空間の方が最適とも言える。
 だけどきっとそれだけじゃない。
 仲間たちとの沢山の経験があるからこそ、書けるもののある。
 それに、今のあの険悪なムードの部活をやめるわけにはいかなかった。
 友惠を一人にはしたくない。
「青春に悩みはつきものだし、まぁ、それもいいだろう。ところで次の作品なんだけど――」

☆☆☆

 それは 亜美がこの家に引っ越してきた当日のことだった。
 荷物を片付け終えてそろそろ寝ようとしていたとき、亜美はふと思い出して机に座った。
 荷物の中からノートパソコンを取り出して立ち上げる。